ウォシュレットトイレのお掃除、どうしていますか?
「機能が多いため、どうやってお掃除したらいいのか分かりません。」「きれいに見えるのにニオイが出ているんです。」
そういったお掃除相談を度々頂いております。今のトイレは、自動でフタが開き、離れると水が流れるものや、時には音楽が再生されるものもあり、機能が充実しています。
だからこそお掃除方法が分からない。自分なりにお掃除をして壊れるのではないかという不安もあるようです。
今回は、ウォシュレットトイレの設備に詳しいスペシャルゲスト「榛葉 秀聡」氏を迎え、ウォシュレットトイレの構造とともにお掃除方法をご紹介します。
プロフィール
シンワ設備株式会社 常務取締役
榛葉 秀聡氏
空調・換気・上下水道・建設設備工事等のプロフェッショナル。水まわりのリフォーム工事知識・経験が豊富で、ウォシュレットトイレの構造に熟知している。
- Q
- さっそくですが、ウォシュレットトイレのお掃除方法について質問です。やはり、特別なお掃除が必要なのでしょうか? また、お掃除をしないことでトイレの寿命が短くなるなど何か問題はありますか?
榛葉 秀聡氏(以下 榛)
- 榛
- 特別なお掃除というより、ウォシュレットトイレの構造を知ることが大切だと思います。お掃除しなかったことで、まだまだ使えるトイレを早く交換してしまったり、業者を呼んで修理してもらったりということはありますからね。
でもそれってもったいないじゃないですか。今回はお問合せの多い事例を紹介しますね。
- 榛
- まずは使用し始めて「約3年」のウォシュレットトイレ。「急に動かなくなってしまった」というお問合せが多々あります。しかしウォシュレットトイレは、3年程度で壊れる商品ではないので、『リモコンの電池切れ』を疑います。笑われていますが、多いんですよ、実際に。
それでも直らない場合は、次に電気系統に異常が無いか、ブレーカーが落ちていないかなどを確認します。ウォシュレットトイレは家電製品のようなものですから、電気が必要不可欠なんですよ。
次に5年。使用し始めて5年経過すると、普段からお掃除をしているかしていないかが重要な問題になってきます。例えば「使ってないのに勝手に脱臭機能が動き出す。」「人がいないのにフタが勝手に開く。」こんなことが起きたりします。
この原因はたいてい汚れです。センサーの部分に汚れがついていると、その汚れを人と勘違いして誤動作を起こしてしまうんです。拭き掃除をすれば直りますよ。
【センサー部分のお掃除方法】
中性洗剤を含ませた濡れタオルや雑巾で拭き取ってください。汚れをしっかり落とすということが大切です。
普段のお掃除はから拭きで構いませんが、センサーが誤作動を起こすほどの汚れはから拭きではなかなか取れません。汚れの膜ができてしまっていることがありますので、濡れた雑巾や洗剤を使用してお掃除してください。
【センサーはどこにあるの?】
トイレの正面に付いていることが多いですね。しかし便器の下についている場合もあります。黒い窓のようなものがありませんか? それがセンサーです。
- 榛
- 使い始めて7年位が経過し、トイレの調子が悪くなってしまったという場合は、電気系統や基盤を疑います。寿命が近づいています。
約10年経つと、また動かなくなることがあります。ウォシュレットトイレは約10年で寿命を迎えるといわれています。このくらいの年数が経つと消耗品部分も破損してきます。例えばゴムパッキンが劣化して水漏れを起こしたりとか。とはいっても、だいたい皆さん14、5年使用しますけど…。
- Q
- まめにお掃除をしていても、臭いが気になるという方もいるようですが?
- 榛
- 家の中でもトイレは特に汚れやすい場所ですから、自然とお掃除の頻度も高くなると思いますが、いつのまにか便器のすき間に飛び散った尿が入り込んだりします。それが原因でニオイが発生したりします。見えにくい場所…つまり、お掃除しにくい場所になりますが、そこについた尿が原因かもしれませんね。
- Q
- そういった汚れを取ることはできるのでしょうか?
- 榛
- 知らない方が多いんですが、実はウォシュレットトイレは便座が外れます。ニオイがきついなと思ったら、外してお掃除してみてください。ここをお掃除することでニオイが軽減することがよくあります。
頻繁にお掃除する必要はありませんが、3年以上放置してしまうと尿石となりお掃除が大変になってしまいますから、例えば年末の大掃除に外して徹底お掃除をする、といった頻度がオススメです。
- Q
- すぐに外せるものなのですか?
- 榛
- はい、ほとんどのトイレは側面にボタンのような、ツメのようなフックが付いてます。このフックを押してずらす感じです。トイレによって取り外し方は違いますのでウォシュレットトイレの説明書の記載に従ってください。
- Q
- トイレ掃除で気を付ける点、コツみないなものはありますか?
- 榛
- そうですね。トイレのお掃除のコツと言えば、便座やふたなどの表面を乾いたタオルで拭いてはいけません。静電気が起こってかえってホコリを吸い寄せてしまうんです。布を水でぬらして、固く絞ったうえで中性洗剤をつけて拭いてください。
- Q
- ノズルはどうやってお掃除はどうしたらいいんですか?
- 榛
- いい質問ですね。ノズルは皆さんが思っている以上に汚れているんです。ノズルのお掃除をするにあたっては、まずはノズルを出さなければなりませんが、出し方は説明書に書いています。もし説明書がなければメーカーに確認を取れば必ず教えてもらえますから安心してください。
それに…今のトイレには「ノズルそうじ」という機能がついていて、そのボタンを押すと自動でノズルが出てくるものもあります。
お掃除の仕方は雑巾やタオルでの拭き掃除が基本です。ただ、必要以上に力を入れてしまうと、ポキっとノズルが折れてしまうこともあるので気をつけてください。力を入れすぎないことが大切です。
- 榛
- 汚れがしつこい場合は、専用の洗剤を使ってください。何度も言いますが、力を入れすぎないことがコツです。ノズルにつく汚れは水アカ汚れが主ですから、基本は中性洗剤を使用した拭き掃除で汚れが落とせます。
時間が経過している汚れであればアルカリ性の洗剤で落とすことをオススメします(アズマ工業の「・オススメ商品 CH868トイレノズル洗浄除菌泡スプレー」もすばらしいとの評価です!!)。
・オススメ商品 CH868トイレノズル洗浄除菌泡スプレー
泡状の洗浄剤。ノズルに吹きかけるだけでOKです。拭き掃除だけでは落ちない頑固な汚れもしっかり落とします。
- Q
- ノズルについたピンク色の汚れのお掃除はどうしたらいいんですか?
- 榛
- ノズルから水を出すとどうしても水がノズルに付着します。水の中には鉄分が含まれていますが、それが原因となって汚れとなります。
軽い汚れであれば簡単に落とせますが、長年お掃除していなかった場合は、鉄分が要因となってプラスチック部分がピンクに染まる場合があります…。残念ながら、この場合、色が染み込んでしまっているので落とすことはできません。
- Q
- ところで、多機能トイレになればなるほど、お掃除は大変になるのでしょうか?
- 榛
- 基本的にお掃除方法はどんなトイレも変わりませんのでご安心ください。でも多機能トイレになればなるほど基盤が複雑になるので、修理が必要になった時には時間がかかりますね。
貴重なお話ありがとうございました。
ウォシュレットトイレに異変を感じたら、電池が切れていないか、センサーが汚れていないか、また、このお掃除のコツを参考に、便座を外してお掃除することを試してみてくださいね。それでも直らない時は、電気屋さんやメーカーに頼んで修理をお願いしてみてください。