昔ながらの箒(ほうき)が今、注目をあびています。
マンション・社宅・アパート、また隣接する住宅問題の一つに騒音があります。そこで登場するのが「座敷ほうき」。掃除機にはない静かさ、手軽さが人気を呼んでいます。
他の道具では得ることができないやわらかな掃き心地が、座敷ほうきの魅力でもあります。今回はそんな座敷ほうきの秘密についてお伝えしたいと思います。
掃除機との比較
掃除機と比べて良い点はいろいろとあります。電気を使用しないのでコードをつなげる必要がありません。それに掃除機のように重くもありません。
また、モーターによる騒音も発生しないので(振動もありません!)、夜間にお掃除しても近所迷惑になる心配がないという点も見逃せません。
こうなっていた座敷ほうきの穂
掃き心地の良いほうきの穂には“コシ”と“しなり”の二つの要素が備わっています。では、どこで“コシ”と“しなり”を出しているのでしょう。ちょっとルーペを使って穂を観察してみましょう。
束ねた部分から一本の穂を穂先に向かって見てみると、穂先に向かっていくほど細かく分かれています。そして、細くなるほど、しなやかなしなり具合になっていることがわかります。
良い穂・・・穂は穂先に向かっていくほど細かく枝分かれしている。
悪い穂・・・太い穂が、途中で細い穂に枝分かれしている。
どうやら、束ねている太い穂の部分に適度なコシが、細かく分かれていく穂先の部分にしなやかなしなりが隠されているようです。
でもそれだけではないようです。もうちょっとルーペで詳しくみてみると、掃き心地の良いほうきの穂は、均一の太さでできているのがわかります(掃き心地の良さを得るためには、穂一本一本を丁寧に揃え、バランスよく束ねることが必要です)。
昔からご家庭で愛用されてきた座敷ほうきですが、掃き心地の秘密の裏にはこんな秘密があったようです。
座敷ほうきの品質について~ほうき草の育つ環境
座敷ほうきの穂は“ほうき草”と呼ばれる原料から作られています。あまり知られていませんが、ほうき草は畑で栽培されています。ほうき草はデリケートな植物で、お米を育てるのと同じように、ほうき草にもノウハウと手間(管理)が必要です。
そして、果物や野菜に豊作やそうでない年があるように、この“ほうき草”にも成長過程の天候などによって、品質が左右されます。
さらに忘れてはいけないのが、同じ時期に収穫された穂の中にもバラつきがあるということです。良質の座敷ほうきを作るためには、収穫された大量の穂の中から手作業で一本一本良い穂を厳選するという、気の遠くなるような作業が必要になります。
良質なほうきの見分け方
ほうき草は収穫後、染色されますが、本来良質な穂は染色する必要はありません。しかし、色のバラつきが気になるという見た目の問題から、今の座敷ほうきのほとんどが染色されています。一方、粗悪な穂ほど、染色を濃くしなければなりません。
簡単な見方ですが、緑色が濃いほうき草は染色によって粗悪さを隠していることがあります。
ほうきを選ぶときには、より天然色(緑色と黄色との中間色)に近いほうきを選ぶことをオススメします。