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大掃除を行う寒い冬。そして新生活の準備を始める暖かい春、どちらの季節も需要が高まるのが『ワックス』。

『ホームセンターに行きましたが、ワックスがありすぎて…、いろいろ書いていますがどれを使えばいいんでしょうか?』こういった質問が毎年寄せられます。

ということで今回はフローリングワックス、その中でも主流の『樹脂ワックス』に着目してワックス選びのポイントをご紹介します。

1.樹脂ワックスとは?

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樹脂ワックス? いきなりよく分からない言葉が出てきましたね。

「樹脂ワックス」とは、その名の通り、「樹脂」を主成分としたワックスです。「樹脂」を簡単に言えばプラスチック。フローリングの上にこのワックスを塗れば、硬く透明なプラスチックの膜で覆われます(床にラップをするイメージです)。

硬いワックスのおかげで、外から衝撃があっても、ワックスに傷がつくだけでフローリング本体には傷がつきません。この「樹脂ワックス」、使い方がとっても簡単なのでワックスの中でも普及率No.1! ホームセンターにあるほとんどのフローリングワックスがこれと言っても過言ではありません。

今回はそんな「樹脂ワックス」の選び方をご紹介します。



・オススメ商品 アクリガード400HB

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やわらかく、丈夫な被膜を形成するアクリル樹脂が床を保護します。1本で約24畳分使用することができます。

2.ポイントはこの4項目『耐久性』『耐水性』『滑り止め効果』『光沢』

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まずはワックスを塗った後の、あなたの理想の仕上がりを思い浮かべてください。例えば、室内犬を飼っているから滑り止め効果の高い仕上がりがいい…、光沢は控えめな仕上がりがいい…。


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「理想の仕上がりを思い浮かべる」ことは、ワックスを選ぶ上でとても重要な作業です。理想の仕上がりを考えるにあたり、主なポイントは『耐久性』『耐水性』『滑り止め効果』『光沢』の4項目。

ホームセンターには、この4項目の特徴を活かしたワックスがたくさんあり過ぎるので、かえって混乱するようです。それでは、それぞれの特徴についてご説明します。


<ポイント1 耐久性>

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ワックスの「硬さ」を表し、ワックスを硬くすることで床に傷をつきにくくします。例えばペットの爪跡で、フローリングが傷つきやすいご家庭や、食卓周りのようにイスを動かす機会が多い場所などは、耐久性に富んだワックスを選ぶことをオススメします。


<ポイント2 耐水性>

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その名の通り、水に強いかどうかです。いつの間にかフローリングが白くなっていた経験はありませんか? これは度重なる水はねでワックスが劣化したものです。キッチン・洗面所などの水回り、観葉植物の周りなどには耐水性に優れたワックスをオススメします。


<ポイント3 滑り止め効果>

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カチカチ、ツルツルの床はツルリと滑ることがありますが、滑り止めを施したい場合には、「弾力性(柔らかいと言われることもあります)に富んだ」ワックスを使用します。

ワックスを塗ると、薄い透明の膜ができますが、これには多かれ少なかれ、弾力(クッション性)があります。弾力性が高いワックスは摩擦力が増え、その分滑りにくくなります。小さなお子様や、ペットが走り回り、滑って転んだりするのが心配だというお客様には、この滑り止め効果の高いワックスを選ぶことをオススメします。


<ポイント4 光沢>

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ワックスを塗っていないフローリングには見た目で分からなくても、木目などの凸凹があります。この上にワックスを塗れば凸凹が埋まり、平坦なフローリングとなり、ワックス塗布前の時と比べ、光が同じ方向に反射するようになるので、ピカピカに光って見えます。

このように樹脂ワックスを塗るとフローリングには光沢が出ますが、この光沢の程度は選ぶこともできます。仕上がりをピカピカにしたいという方は光沢が出るワックスを、自然の木の雰囲気を味わいたいという方は光沢を抑えたタイプのワックスをお選びください。


以上のようにワックスの特徴に応じて、4項目がそれぞれ調整されて市販されています。どの項目を最も重視するのか、(理想の仕上がりに近づけるために)優先順位をつけることがワックス選びの最大のポイントとなります。

3.ワックスは何年もつの?

ワックスを塗るには体力と時間が要りますので、正直面倒…ですよね。ワックスを一度塗ったら、どのくらいの期間で塗りなおすものなのでしょうか?

これは家族の人数やワックスを塗った場所によって異なるので一概に言いにくいのですが、塗りなおす判断基準を(あくまでも目安ですが…)ご紹介します。


■半年に1回

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半年に1回塗りなおすのがベストという情報は、よく言われたり書かれたりしています。

しかし実際は、半年に1回塗りなおすのは面倒くさいですよね。多くのメーカーが「半年に1回」を推奨している理由は「美しさを保つ」ということ。実際、ワックスを塗って半年程経つと、食卓やソファの周りなど家族が集う場所のフローリングには光沢がなくなってきます。

光沢がなくなるということは、無数の傷がつき、ワックスが磨り減っているということ。人の歩かない部屋の端は光沢が保たれていても、人が通る場所は光沢がなくなってきます。このような状況を回避するために、半年に1回、ワックスを塗りなおすのをすすめているわけです。


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一方で「ワックスが磨り減っている」というのも気になります。ワックスがなくなり、フローリングに傷がついてしまうのでは!?と不安になった方もいるはず。全面剥がして塗りなおすのは面倒、でもフローリングが傷むのは気になる…。

そんな時には、光沢のなくなった部分、もしくはお部屋全体にもう一度ワックスを「重ねる」という手はあります。ムラになる可能性もありますが、フローリングの保護はできます。


■1年に1回

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光沢がなくなった部分だけワックスを塗ってさらに半年経過。人が通る場所は、また光沢がなくなってきます。塗りなおすのが面倒だから、もう1回ワックスを重ねようと思うかも知れませんが、これはあまりオススメできません。「床の保護」という点からはこれでもOKですが、「美しさを保つ」という面では、少し不安が出てきます。

例えば、今回ワックスを重ねると、3層目を塗ることになりますが、これは地層のようにワックスを重ねることです。 古いワックスにできた「傷」や「埋め込まれた汚れ」の上にワックスを重ねるので、フローリングがくすんで見えてしまうこともしばしばあります。これを考えるとワックスを重ねるのは最大でも2層まで。

理想としては、1年経ったこの段階で前回塗ったワックスをきれいに取り除き、新しいワックスを塗ることをオススメします。


■2~3年に1回

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美観はそんなに気にしないのでワックスを重ねましたという方もいらっしゃるかもしれません。また、使用頻度の少ない部屋は何事もなく経過するかもしれません。

そんな場合でも「床の保護」「美しさを保つ」という両方の観点から、2~3年に1回は前回塗ったワックスをキレイに取り除き、新しいワックスを塗りなおすことをオススメします。


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なぜなら、時間が経つにつれワックスはだんだん硬くなってくるから…。ワックスの成分は徐々に揮発し、まるで干からびたような状態になり、次第に硬くなります。硬くなったワックスは、ちょっとした衝撃でひび割れることもあります。また、この状態では、ワックスを剥がすのにも時間がかかるようになります。

このようなわけで、2~3年に1回はワックスを剥がし、塗り替えることをオススメします。

いかがでしたか? 目安として「光沢がなくなってきたな」と思ったら、塗りなおすのもいいでしょう。ワックス作業は年に何回も行うものではありませんので、いつ作業したか忘れてしまうこともあるでしょう。そんな時は早目早目で行動することをオススメします。

iconワックスを剥(は)がす

先ほどから何回も出てきた「ワックスを剥がす」という言葉。あまり聞きなれない言葉かもしれません。既にワックスを塗っていて、新たにワックスを塗る場合、古いワックスを落とす必要があります。この作業が「ワックスを剥がす」です。「剥離(はくり)」とも言います。「剥がす」作業を行うことでワックスの仕上がりはグンと美しくなります。

古いワックスは時間の経過とともに劣化し、無数のキズが至る所で生じています。そのキズには汚れが付着していることもしばしば。その上にワックスを重ねるとその汚れをはさみ込んでしまい、キレイな仕上がりは期待できません。

美しい仕上がりを求めるのであれば欠かせない作業、それが「剥離」なのです。

また、ワックスは時間の経過とともに硬くなります。重ね塗りした最下層はカチカチの状態で、これを落とすには一筋縄ではいきません。そんな苦労はしたくないという方は、新しいワックスを塗る前に古いワックスを剥がしておくことをオススメします。ワックスは中性洗剤(普通の洗剤)ではなかなか剥がれませんので、専用のワックス剥離剤をご使用ください。

・オススメ商品 強力床ワックス剥離剤400HBCH895

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その名の通り、古いワックスをしっかり落とすことができる強力床ワックス剥離剤です。1本で約48畳分使用することができます。